是非こんな方に読んでほしい
この論文は、肩のリハビリテーションに携わる理学療法士や医療従事者、スポーツ医学の専門家、アスリート、肩の診断や治療に興味のある研究者など、肩の診断に関する疑問や、棘上筋の診断に関する情報を求める方に有用です。
論文内の肯定的な意見
- 肩の筋肉全体を強化するためのテストとして有用である可能性がある。
- 複数の肩の筋肉を同時に強化することができ、リハビリや運動プログラムで利用できる。
論文内の否定的な意見
- 「Empty Can」および「Full Can」テストは、棘上筋を選択的に活性化しない。
- 他の肩筋も同時に活性化されるため、特定の筋肉に対する診断テストとしては信頼性が低い。
- 誤診を引き起こす可能性があり、特定の筋に対しての選択性がない。
Background
「Empty Can」および「Full Can」テストは、肩の棘上筋(supraspinatus)の病理を診断するために一般的に使用されてきました。しかし、これらのテストが棘上筋を選択的に活性化するかどうかについては、議論が続いています。本研究は、これらのテストが棘上筋を他の肩筋と区別して活性化するかどうかを調査しました。
Method
15名の健康な被験者を対象に、肩の13の筋肉の筋電図(EMG)データを記録し、「Empty Can」および「Full Can」テストを実施しました。これにより、棘上筋および他の肩筋の活動レベルを比較し、どの筋肉が最も活性化されるかを確認しました。
Results
両テストの結果、棘上筋だけでなく、三角筋や棘下筋、前鋸筋などの他の肩筋も高いレベルで活性化されました。特に、これらのテストでは棘上筋が選択的に活性化されるわけではなく、他の筋肉も同程度に活動していることが明らかになりました。
Conculusion
「Empty Can」および「Full Can」テストは、棘上筋の診断には不適切であり、他の肩筋も同時に活性化されるため、選択性に欠けます。これらのテストは、棘上筋の病変の診断に信頼性が低い一方で、肩全体の筋肉を同時に強化する目的には適している可能性があります。したがって、診断ツールとしての使用は注意が必要であり、他の方法と併用することが推奨されます。
限界点
- 健康な被験者のみを対象としているため、病理がある場合にどのように影響するかは不明。
- 特定の筋肉に対する選択性が低いため、誤診のリスクがある。
読者が得られるポイント
- 「Empty Can」および「Full Can」テストは棘上筋に対する診断ツールとしての有効性に疑問がある。
- 他の肩筋も活性化されるため、リハビリやトレーニングでの活用には有用かもしれない。
論文の詳細が気になる方、もっと詳しく知りたい方は、是非論文を一読ください。
論文情報
Weppler CH, Magnusson SP. Increasing muscle extensibility: a matter of increasing length or modifying sensation? Phys Ther. 2010;90:438-449.
DOI: 10.2522/ptj.20090012.
コメント