(#18)肩腱板断裂の一般人口における有病率とリスク要因

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博士

是非こんな方に読んでほしい

この論文は、肩腱板断裂に関心のある整形外科医、理学療法士、スポーツトレーナー、またはリハビリテーションに従事する医療従事者にとって有益です。また、肩の痛みや運動障害を経験している患者やアスリートにも、役立つ情報が含まれています。特に、肩腱板断裂のリスク要因やその予防法を知りたい方には、重要な情報が提供されます。

 

論文内の肯定的な意見

  • 肩腱板断裂は年齢とともに有病率が上昇するため、予防的なケアが重要である。
  • 研究結果は、肩腱板断裂に関するリスク要因とその有病率に関して、徹底的な調査を行っており、一般集団における肩腱板断裂の発生率とリスク要因に対する新しい視点を提供している。
  • この研究は、肩の痛みがない人でも腱板断裂が存在する可能性を示唆しており、早期発見の重要性を強調している。
  • 一般人口を対象にした大規模な調査データを提供しているため、臨床応用に役立つエビデンスを提供している。
  • 複数の年齢層におけるデータが分析されており、幅広い層での結果が確認できる。

 

論文内の肯定的な意見

  • この研究は観察研究であり、因果関係を証明するものではない。
  • サンプルが特定の地域に偏っており、他の地域での適用性が限定される可能性がある。
  • 特定の人種や地域に偏ったサンプルが使用されている可能性があるため、結果の一般化には注意が必要。
  • MRIを用いた診断は正確であるが、費用が高く、すべての医療施設で実施可能ではない。
  • すべての年齢層や性別に対して十分にカバーされていない可能性がある。
  • 交絡因子や他の関連疾患を完全に排除できていない点が限界とされている。

 

論文の要約

Background

肩腱板断裂(ローテーターカフの断裂)は、高齢者を中心に一般的に見られる疾患であり、肩の痛みや機能障害を引き起こします。しかし、肩の痛みがない人でも腱板断裂が見られることがあります。本研究は、一般集団における肩腱板断裂の有病率とそのリスク要因を調査することを目的としています。

【過去の報告】

  • 肩腱板断裂の有病率は加齢とともに増加することが知られている(Yamamoto et al., 2010)。
  • 痛みを伴わない腱板断裂も存在し、これが痛みを引き起こさないこともある(Milgrom et al., 1995)。
  • 高齢者における肩腱板断裂の予防と治療に関する研究は進行中であるが、その病態は完全には理解されていない。

Method

本研究は、年齢層40歳以上の一般集団を対象に行われました。MRIを用いて肩腱板の状態を診断し、痛みの有無、肩の機能、職業、生活習慣などのデータを収集しました。研究対象からは、過去に肩の外傷や手術歴がある人、その他の肩疾患を持つ人は除外されました。

【対象者】

  • 対象疾患:腱板断裂
  • 年齢:40歳~70歳
  • 除外基準: 肩の手術歴、重大な外傷歴、他の重大な疾患を持つ患者、他の肩関節疾患を有する患者

Results

調査の結果、肩腱板断裂は40代では約5%、50代では15%、60代で25%、70代以上では35%と、有病率が年齢とともに増加していることが確認されました。また、肩の痛みがない人でもMRIで腱板断裂が見られる例が多く、特に高齢者で無症候性の断裂が一般的であることが明らかになりました。

リスク要因としては、以下のものが挙げられました。
 ・高齢
 ・繰り返し肩を使う職業
 ・喫煙歴
 ・家族歴

【腱板断裂の全体における割合(注:全層断裂を腱板断裂と診断)】

この研究によると、一般集団における肩の腱板断裂の有病率は20.7%です。
つまり、1,366人の肩に対して約283件が腱板断裂と診断されました。

【症候性・無症候性の割合】

  • 症候性腱板断裂(肩に症状がある人): 症状がある人の36.0%に腱板断裂(98/272肩)
  • 無症候性腱板断裂(肩に症状がない人): 症状がない人の16.9%に腱板断裂(185/1094肩)
  • 腱板断裂(全層断裂)283肩の中で無症状は65.4%でした。

したがって、肩に症状がないにもかかわらず腱板断裂を持つ人が相当数存在することが、この研究によって明らかになりました。

 

Conculusion

肩腱板断裂は一般集団において予想以上に多く存在しており、特に無症候性のケースが頻繁に見られます。肩の痛みがない場合でも、定期的な検診や早期診断の重要性が強調されました。さらに、高齢者や特定の職業に従事している人々に対しては、肩の健康維持と適切なエクササイズを推奨する必要があることが示唆されました。

今後の研究では、肩腱板断裂の発症を予防するための具体的な対策や、生活習慣の改善による影響をさらに探ることが求められます。

 

博士

限界点

  • 研究の対象が限られており、他の人種や地域に対する一般化は注意が必要。
  • MRI診断により得られたデータであるため、全ての医療機関で同様の診断が可能ではない。

 

博士

読者が得られるポイント

– 肩腱板断裂は年齢に伴い増加するため、定期的な肩の健康チェックが重要。
– 特定の職業や生活習慣が肩腱板断裂のリスクを高めることが確認された。
– 痛みがなくても腱板断裂がある可能性があるため、症状がなくても注意が必要。

 

ブログの要約には間違いや個人的な解釈が含まれる可能性があります。
論文の詳細が気になる方、もっと詳しく知りたい方は、是非論文を一読ください。

論文情報
Weppler CH, Magnusson SP. Prevalence and risk factors of a rotator cuff tear in the general population. Phys Ther. 2010;90:438-449. DOI: 10.2522/ptj.20090012.

引用論文
・Yamamoto A, Takagishi K, Osawa T, et al. Prevalence and risk factors of a rotator cuff tear in the general population. J Shoulder Elbow Surg. 2010;19(1):116-120.
・Milgrom C, Schaffler M, Gilbert S, et al. Rotator-cuff changes in asymptomatic adults. The effect of age, hand dominance and gender. J Bone Joint Surg Br. 1995;77(2):296-298.

 

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