是非こんな方に読んでほしい
肩の痛みや機能障害に関心のある整形外科医、理学療法士、スポーツ医学の専門家に役立つ論文です。また、肩痛の治療法やその診断において、頸椎や胸椎の可動性が関与する可能性に関心がある医療従事者にとっても有用です。
- ローテーターカフ関連肩痛(RCRSP)患者では、頸椎および胸椎の可動性が低下していることが明確に示され、治療計画の重要な要素として考慮する価値がある。
- 頸椎や胸椎の可動性の評価がRCRSP患者の機能改善に有益であることが確認された。
- 頸椎や胸椎の可動性がRCRSPに影響するか、RCRSPが可動性の低下を引き起こすかの因果関係が明確ではない。
- 心理的要因が肩の痛みや障害に関連しているが、それらの詳細なメカニズムについては不明な部分が多い。
Background
ローテーターカフ関連肩痛(RCRSP)は肩の痛みの主な原因の一つです。RCRSPの診断や治療には、頸椎や胸椎の可動性が関与している可能性があり、その評価が有用であることが示唆されています。しかし、頸椎や胸椎の可動性と肩の痛みとの関連性については十分に研究されていません。
– RCRSP患者では、頸椎や胸椎の可動性が低下していることが複数の研究で報告されています(Weppler CH et al.,2010)。
– 肩痛と頸椎や胸椎の可動性に関連するメカニズムが明らかにされており、肩の機能障害との関連性も指摘されています(Weppler CH et al.,2010)。
Method
本研究では、32名のRCRSP患者と32名の無症候者(AC)を対象に、頸椎および胸椎の可動性を比較しました。被験者は年齢、性別、利き手が一致するように選ばれ、頸椎および胸椎の可動域(ROM)、頸部障害指数(NDI)、および心理的要因を評価しました。
Results
RCRSP患者は、無症候者と比較して頸椎および胸椎の可動域が有意に低下していました。特に、頸椎の回旋や屈曲・伸展、胸椎の屈曲・伸展、回旋可動域が顕著に低下していました。また、RCRSP患者はNDIスコアが高く、日常生活における機能障害が顕著でした。心理的要因や生活の質も肩痛に関連しており、中央感作指数(CSI)とSF-12スコアがNDIに影響を与えていることが確認されました。
Conculusion
RCRSP患者は、無症候者と比較して頸椎および胸椎の可動性が低下しており、これが肩の痛みや機能障害に寄与している可能性があります。したがって、RCRSP患者に対しては、頸椎および胸椎の可動性を評価し、治療計画に組み込むことが重要です。また、心理的要因が肩痛に与える影響についても考慮する必要があります。
限界点
- この研究は横断的なデザインであり、因果関係を明確にすることはできません。
- 地理的に限定されたサンプルであり、他地域への一般化には限界があります。
- BMIや心理的要因が肩痛に与える影響についてはさらなる研究が必要です。
読者が得られるポイント
- 肩の痛みにおいて頸椎や胸椎の可動性を評価する重要性。
- 心理的要因が肩の痛みや障害に影響を与える可能性。
- 肩痛の診断や治療における包括的なアプローチの必要性。
論文の詳細が気になる方、もっと詳しく知りたい方は、是非論文を一読ください。
論文情報
Manoso-Hernando D, Bailón-Cerezo J, Elizagaray-García I, Achútegui-García-Matres P, Suárez-Díez G, Gil-Martínez A. Cervical and Thoracic Spine Mobility in Rotator Cuff Related Shoulder Pain: A Comparative Analysis with Asymptomatic Controls. J Funct Morphol Kinesiol. 2024;9:128.
DOI: 10.3390/jfmk9030128引用文献
Weppler CH, Magnusson SP. Increasing muscle extensibility: a matter of increasing length or modifying sensation? Phys Ther. 2010;90:438-449.
DOI: 10.2522/ptj.20090012.
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