是非こんな方に読んでほしい
骨粗鬆症のリスク評価や診断に関心のある医師、特に一般内科医や整形外科医に向けた記事です。さらに、骨粗鬆症の早期発見や治療を考える臨床医にも役立つ内容となっています。
- 体重が51kg未満の場合、骨粗鬆症のリスクが大幅に増加する(陽性的中率: 7.3)。
- WOT(wall-occiput test)距離が0cm以上の場合、隠れた脊椎骨折のリスクが高まる(陽性的中率: 4.6)。
- 単一の診察所見では、骨粗鬆症や脊椎骨折を診断するには不十分。
- 骨密度測定の代替として、臨床診察の感度や特異度は限定的である。
Background
骨粗鬆症は、骨密度の低下により骨折リスクが増加する疾患で、特に高齢者や閉経後の女性に多く見られます。米国では年間150万件以上の骨粗鬆症関連の骨折が報告されており、その数は今後も増加する見込みです。この研究は、骨密度測定を受けるべき患者を臨床診察によってどの程度特定できるかを評価しています。
Method
1966年から2004年までの間に発表された文献を対象に、骨粗鬆症や脊椎骨折の診断における身体診察の有効性を評価する研究をメタ分析しました。具体的な診察所見(体重、WOT(wall-occiput test)距離、RPDT(rib-pelvic distance test)距離など)が、骨密度の低下や隠れた脊椎骨折のリスクをどの程度正確に予測できるかを調査しました。
Results
- 体重が51kg未満の女性では、骨粗鬆症のリスクが大幅に高まることが確認されました(陽性的中率: 7.3)。
- RPDT(rib-pelvic distance test)距離が2指幅未満の場合、腰椎骨折のリスクが高い(陽性的中率: 3.8)。
- WOT(wall-occiput test)距離が0cm以上であれば、胸椎骨折のリスクが高いことが示唆されました(陽性的中率: 4.6)。
Conculusion
体重が51kg未満、WOT(wall-occiput test)距離が0cm以上、RPDT(rib-pelvic distance test)距離が2指幅未満といった所見は、骨密度測定やさらなる検査を必要とする患者を早期に特定するための重要な手がかりとなります。ただし、単一の診察所見では骨粗鬆症や脊椎骨折の確定診断には不十分であり、これらの所見を複数組み合わせて判断する必要があります。
限界点
- 身体診察のみでは、骨粗鬆症や脊椎骨折の診断精度に限界がある。
- メタ分析に含まれる研究のいくつかは、サンプルサイズが小さく、結果の一般化が難しい。
読者が得られるポイント
- 体重やRPDT(rib-pelvic distance test)距離、WOT(wall-occiput test)距離などの診察所見が、骨粗鬆症のリスクを早期に評価するための有用な指標である。
- 骨密度測定の適応となる患者を見極めるための簡便な診察技術が示された。
論文の詳細が気になる方、もっと詳しく知りたい方は、是非論文を一読ください。
論文情報
Weppler CH, Magnusson SP. Increasing muscle extensibility: a matter of increasing length or modifying sensation? Phys Ther. 2010;90:438-449.
DOI: 10.2522/ptj.20090012.
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