硬膜(dura)への刺激によって生じる痛みは、「硬膜のどの部位を刺激するか」によって大きく異なります。
Kuslichらの報告によると、後方の硬膜は無感覚であるのに対し、前方の硬膜や神経根を包む硬膜は痛みに対して敏感であることが示されています。
後方硬膜(Posterior dura)
脊髄を包む袋の後ろ側の部分は、刺激に対して無感覚(insensitive)です。
- 反応
64例のテストにおいて、重大な痛み(Significant pain)および何らかの痛み(Some pain)を訴えた患者は0%でした。
- 分類
炎症のない硬膜(Uninflamed dura)は「決して痛みが生じない(Never)」組織に分類されています。
前方硬膜(Anterior dura)
一方で、椎間板に面している前方の硬膜は、刺激に対して感受性を持っています。
- 痛みの分布
前方硬膜を刺激すると、「臀部、脚、および足先(Buttock, leg, and foot)」に痛みが生じます。
- 頻度
64例のテストのうち、5%が重大な痛み、23%が何らかの痛みを訴えました。
- 分類
前方硬膜は、後縦靭帯とともに「しばしば痛みを生じる(Often)」組織に分類されています。
神経根硬膜(Nerve root dura)
神経根を包んでいる硬膜(鞘)も、刺激によって痛みが生じる部位です。
- 痛みの分布
ここを刺激すると、「臀部および脚(Buttock, leg)」に痛みが生じます。
- 頻度
92例のテストのうち、6%が重大な痛み、23%が何らかの痛みを訴えました。
まとめ
硬膜への刺激による反応をまとめると以下のようになります。
- 後方硬膜
触れても痛みを感じません。
- 前方硬膜
刺激すると、臀部から足先にかけての痛みを引き起こします。
この発見は、脊椎の手術において、どの部位の硬膜であれば安全に操作できるか、あるいはどこが痛みの原因になり得るかを判断する重要な指標となっています。


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